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くるみん認定制度の活用で助成金が受け取れることご存知ですか?【最大50万円】

2021.10.22 コラム


山梨を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人中込労務管理です。

男女ともに子育てをする、という意識を持つ方が増えてきている中、従業員の子育て支援への取り組みをしている企業も多くなってきています。
その企業へのサポートとして、厚生労働省が一定の要件を満たす企業に「くるみん認定」を授与していることをご存知でしょうか?
くるみん認定を受けると、子育て支援に理解がある優良企業とPRできますので、従業員の採用や定着に期待ができます。

また、2021年10月からくるみん認定を受けた企業に対して助成金が新設されました。
くるみん認定とは何か?手続き方法は?助成金の金額は?イメージアップに役立つ「くるみん認定」について解説します。

くるみん認定とは?

厚生労働省より「子育てサポート企業」の認定を受けた企業が授与されます。
下記の条件を満たすことにより、申請が可能です。

・一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出ていること
・くるみん認定の基準を満たすこと

一般事業主行動計画とは、次世代育成支援対策推進法に基づいて、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境、労働条件の整備などを実行するための計画書になります。
くるみん認定の基準については後述しますが、くるみん認定を受けることは、国の基準をクリアした子育て支援をしている企業、という証になります。

また、くるみん認定を受けると、くるみんマークの使用が許可され、広告などにも使用できるようになります。

【くるみんマークが使用できるもの】
(1)商品または役務
(2)商品、役務または一般事業主の公告
(3)商品または役務の取引に用いる書類や通信
(4)一般事業主の営業所、事務所その他事業場
(5)インターネットでの公開
(6)従業員募集時の広告または文書
国が認めた優良企業というイメージを自社商品や求人広告などにも使用でき、多方面での宣伝が可能です。

プラチナくるみん認定とは?

くるみん認定を受けた企業の中で、更に高い基準をクリアしているのが「プラチナくるみん認定」になります。
プラチナくるみん認定を受けた企業は、より高い取り組みを行っている証として、「プラチナくるみんマーク」を使用できます。

マークを使用できる用途はくるみん認定と同じになりますが、プラチナくるみんマークを使用しているということで、より優良な企業というイメージを持ってもらうことができます。

くるみん認定を受けることでもらえる助成金について

2021年10月より、くるみん認定および、プラチナくるみん認定を受けた企業に、50万円の助成金が支給されます。
助成事業名:中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業

【助成額】
くるみん認定:1回の認定につき、1回の助成(50万円/企業)
プラチナくるみん認定:認定を受けた翌年度から令和8年度まで毎年度、助成(50万円/企業)

また、くるみん認定を受けていない場合であっても、下記の内容に対応が可能だと助成金の活用ができる可能性がございます。

・過去に男性社員で育休を取ったことがある
・両立支援の助成金を活用したことがある

もし対応できておりましたら、社会保険労務士法人中込労務管理までご相談ください。

くるみん認定制度の背景


くるみん認定は、仕事と子育ての両立を目的としています。
1971年以降のベビーブーム以降、日本は少子化が進み、働き手の減少が問題となっています。
また、結婚・出産を機に一度仕事を退いた女性が復帰しにくいことも課題のひとつです。

内閣府男女共同参画局によると、女性が退職する際には
・職場の出産・子育ての支援制度が不十分だったから:27.9%
・子どもの体調の悪いときなどに休むことが多かったから:11.7%
・職場復帰に復帰しても仕事の内容が出産前と異なりそうで不満だったから:7.9%
このように、出産や育児に関する職場環境は、女性が働く上で大きな課題となるのです。
参考:http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/k_45/pdf/s1.pdf

それを受けて施行されたのが、「次世代育成支援対策推進法」(2003年施行)
常時雇用している従業員が101名を超える場合に、従業員に対する子育て支援計画を策定し、厚生労働大臣に届け出を義務化するという内容です。

その計画を達成し、国が子育て支援のある企業として認めた証が「くるみん認定」です。

くるみん認定を取得するメリット

くるみん認定を取得する=子育てに理解がある会社、というイメージがつきます。
いわゆるホワイト企業、優良企業と見られ、社会的なイメージアップにつながることがくるみん認定の最大のメリットです。

1.企業イメージの向上


くるみん認定を受けることで、子育て支援をしている優良企業というイメージがつきます。
社会貢献度が高い子育て支援は、取引先や顧客、消費者へのイメージ戦略など企業ブランドの向上に繋がります。

2.労働力の確保につながる

昨今では、産休育休制度の整っている会社に入社したいというニーズも多くなっています。
子育てに理解のある企業として認識されると、採用時に優秀な人材を確保しやすいメリットがあります。
また、くるみん認定を受けると、厚生労働省のHPで企業一覧として紹介されます。
「学生・求職者の方は、企業研究の指標の一つとしてもご活用ください。」と記載もされていますので、優秀な学生採用にも活用できます。
更に加えると、ワークライフバランスが整っている企業は、従業員の定着率が高まります。

新卒採用、中途採用、既存従業員の定着率向上、退職防止など、雇用に関する課題にもくるみん認定は有効といえます。

認定基準について

くるみん認定を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。
その基準について、「くるみん認定」、「プラチナくるみん認定」に分けて解説します。

くるみんマークの認定基準

まず、くるみんマークの認定基準については厚生労働省で決められた内容があります。
その詳細基準について、下記にまとめました。

1.くるみんマークの認定基準詳細

①雇用環境整備について、行動計画策定指針に沿った行動計画を策定している
②行動計画の計画期間が2年以上5年以下
③策定した行動計画を実施し、計画通りに目標達成できている
④策定・変更した行動計画について、公表および労働者への周知を適切に行っていること。
⑤男性従業員の育児休業等取得について、どちらを満たすこと。
・育児休業等を取得した男性労働者が7%以上
・育児休業(その企業独自の育児を目的とした休暇制度でも可)を利用した男性従業員の割合が15%以上、かつ、育児休業等を取得した男性従業員が1人以上在籍

⑥女性従業員の育児休業等取得率が75%以上
⑦3歳~小学校就学前の子どもを育てる従業員について、下記の制度を講じていること。
・育児休業に関する制度
・所定外労働の制限に関する制度
・所定労働時間の短縮措置またはフレックスタイム制度などの始業時刻変更等の措置に準ずる制度

⑧退職者以外で計画終了日までに下記の条件を満たすこと。
・フルタイム労働者の法定時間外・法廷休日労働時間の平均が各月45時間未満
・法定時間外労働60時間以上の従業員がいない(月平均)

⑨下記のいずれかで具体的な目標を定めて実施している
・所定外労働の削減
・年次有給休暇の取得の促進
・短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備

⑩法、法令等に違反する重大な事実がないこと。

2.従業員300人以下の企業の特例

くるみん認定の基準には、従業員300人以下の企業に対して特例措置が設けられています。
従業員300人以上の企業より基準が広くなっていますので、該当するか確認しましょう。

◆計画期間内に男性従業員の育児休業等取得者がいなかった場合

①~④のいずれかに該当すれば基準を満たします。
① 1歳未満の子の看護休暇を取得した男性従業員がいること。
② 小学校就学前の子を育てる従業員に対する所定労働時間の短縮措置を利用した男性従業員がいること。
③ 計画の開始前3年以内に育児休業等を取得した男性従業員の割合が7%
④小学校就学前の子を育てる男性労働者がいない場合は、中学校卒業までの子又は小学校就学前の孫についての子育てを目的とした企業独自の休暇制度を利用した男性労働者がいること。

◆計画期間内の女性従業員の育児休業等取得率が70%未満だった場合

計画期間とその開始前の一定期間(最長3年間)を合わせて計算したときに、女性従業員の育児休業等取得率が70%以上であれば基準を満たします。

プラチナくるみんマークの認定基準

くるみん認定を受けた中で、更に高い基準をクリアしている企業は「プラチナくるみん認定」を受けることができ、その証としてプラチナくるみんマークの取得が可能です。

プラチナくるみんマークの認定基準は、原則くるみんマークの認定基準と同じ項目も含まれます。
違いのある内容だけをピックアップしています。

1.プラチナくるみんマークの認定基準詳細
◆男性従業員の育児休業等取得について、どちらを満たすこと。

・育児休業等を取得した男性従業員が13%以上
・育児休業(その企業独自の育児を目的とした休暇制度でも可)を利用した男性従業員の割合が30%以上、かつ、育児休業等を取得した男性従業員が1人以上在籍

◆下記条件のすべての措置を実施していること。

・所定外労働の削減
・年次有給休暇の取得の促進
・短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備
※所定外労働の削減と年次有給休暇の取得の促進については、最低ひとつ定量的な目標を定めて達成する必要があります。

◆女性従業員の在籍率について

下記のいずれかを満たしていること。
・子を出産した女性従業員で、1歳の誕生日まで継続して在職(育児休業等を利用してる者を含む)している者の割合が90%以上
・子を出産した女性従業員、退職した女性従業員で子を出産する予定の者の合計数で、1歳の誕生日までに継続して在職している者(1歳の誕生日に育児休業等を利用している者を含む)の割合が55%以上であること。

2.従業員300人以下の企業の特例

プラチナくるみんマークの認定基準においても、従業員300人以下の企業にたいして特例措置があります。
くるみんマークの認定基準と異なる内容のみまとめています。

◆女性従業員の在籍率について

計画開始時、下記条件が未達であっても、計画開始前3年の間で達成している場合は条件を満たす。
・子を出産した女性従業員で、1歳の誕生日まで継続して在職(育児休業等を利用してる者を含む)している者の割合が90%以上
・子を出産した女性従業員、退職した女性従業員で子を出産する予定の者の合計数で、1歳の誕生日までに継続して在職している者(1歳の誕生日に育児休業等を利用している者を含む)の割合が55%以上

くるみん認定の取得の流れについて

くるみん認定を受けるにあたり、取得のおおまかな流れを下記に記載します。

【くるみん認定取得の流れ】
①自社の現状や従業員のニーズの把握
②①の現状を把握した上で行動計画を策定
③行動計画を公表し、従業員に対して周知、
④都道府県労働局雇用環境均等部(室)へ届出
⑤行動計画の実施
⑥行動計画期間終了後、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へくるみん認定の申請
⑦「子育てサポート企業」として認定され、くるみんマークが付与される
上記7つのステップを踏む必要があり、それぞれについてポイントを解説します。

1.くるみん認定取得のポイント

くるみん認定取得の7つのステップのうち、①~⑤についてポイントをお伝えします。
①自社の現状とは、仕事と子育ての両立に対して障害になっていること、従業員のニーズとは、例えば勤務時間や休暇など従業員が求めていることを把握します。

②行動計画を策定…把握した課題、ニーズを元に計画をたてます。計画期間、目標など定量的な数値目標を設定します。

③公表、従業員に対して周知…計画からおおむね3か月以内に、一般公開と従業員への周知をします。従業員には掲示、電子メールの送信などで行います。

④都道府県労働局雇用環境均等部(室)へ届出…計画から3か月以内に郵送、持参、電子申請を行います。

⑤行動計画の実施…計画に沿って目標達成を目指し実行します。

2.くるみん認定申請方法

くるみん認定の取得の流れ7つのステップが完了したら、次はくるみん認定の申請を行います。
前述した認定基準に当てはまるかを改めて確認し、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に郵送、持参、電子申請などで申請します。

まとめ


くるみん認定は企業の子育てに対する理解度、貢献度を図る物差しともいえる制度です。

社会的なイメージアップの実現、人材確保に繋がる上、助成金制度の活用もでき、企業に嬉しい内容になっています。
ぜひとも有効活用していきたい制度のひとつです。
くるみん認定を受けるには、計画を策定し実行、達成していること、認定基準を満たしていることが重要になります。

申請条件に合致するか、助成金の申請に際して不安がある場合は社会保険労務士法人中込労務管理へご相談ください。

中込労務管理事務所編集部
執筆者情報 中込労務管理事務所編集部

人事と労務管理の専門家として、これまで各業種の企業さまへさまざまなサポートを提供してまいりました。顧問企業がお困りの際に「受け身」でご支援を行うだけではなく、こちらから「積極的に改善提案を行うコンサルティング業務」をその特色としております。人事労務にお悩みのある企業さまはもちろんのこと、社内環境の改善を目指したい方、また問題点が漠然としていてご自身でもはっきり把握されていない段階であっても、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

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