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定期監督の調査対象になりやすい業種がある!どんな業種?調査のポイントは?

2022.07.04 コラム

山梨を中心に企業の労務管理を支える「社会保険労務士法人中込労務管理」です。今回は「定期監督の調査対象になりやすい業種とは?」をテーマにお話しします。

そもそも定期監督とは、労働基準監督署による調査のことです。企業に法令違反がないかどうかをあらゆる角度から調べます。もちろん定期監督の調査対象は全業種全企業ですが、調査対象となりやすい業種があるのも事実です。

本稿では、定期監督の調査対象となりやすい業種についてお伝えします。自社が調査対象となりやすい業種なのか確認してみてください。

まず定期監督の概要や目的から解説します。

定期監督とは

定期監督は、労働基準監督署が実施する調査のうちもっとも一般的なもので、申告や労災を受けて実施される調査ではありません。日ごろから調査を実施することで、法令違反による弊害を未然に防止する役割があります。

定期監督はすべての業種や企業が対象です。とはいえ、重点業種や重点施策が毎年変わるため、年によって調査されやすい業種の傾向がみられます。その年の監督計画に基づいて、労働基準監督署が無作為に調査対象を選び調査を実施するのです。

調査対象となった企業には、定期監督を実施する旨が電話や書面で通知されます。事前に通知されるケースが多いものの、突然労働基準監督官が訪問してくるケースもみられます。

定期監督は労働基準法や労働安全衛生法を根拠として実施されるため、突然訪問されたからといって拒否することはできません。調査を拒否すると刑事罰が科されてしまいます。指定された日や訪問された日に都合がつかない場合は、再度日程を調整するなど丁寧な対応が必要です。

定期監督では、労働条件や労働環境など幅広い内容を調査されます。もし法令違反が見つかったとしても、すぐに罰が下されるわけではないのでご安心ください。実際、定期監督の対象となった企業のうち、約7割がなんらかの法令違反を指摘されているとの報告もあります。

法令違反があった場合は労働基準監督官から是正に向けた指導をされますので、企業はこれに従い前向きに改善していくことになります。

定期監督の調査対象を知るポイントとは

先ほど「重点業種や重点施策が毎年変わるため、年によって調査されやすい業種の傾向がみられる」とお伝えしました。

そこで本章では、どのような業種が調査対象となりやすいのかを探っていきます。まずは、それを知るために重要な「定期監督を実施する目的」から解説しましょう。

 

労働基準監督署が定期監督を実施する目的は、「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という憲法25条にあります。労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営めるよう、企業は以下の3点を守ることが必須です。

・最低賃金・賃金の引き上げに向けた生産性向上などの推進

・労働者が安全かつ健康に働ける環境の整備

・長時間労働の抑制

それぞれについて解説していきます。

最低賃金・賃金の引き上げに向けた生産性向上などの推進

定期監督の目的として「最低賃金や賃金の引き上げを念頭に、生産性を向上させるよう推進すること」があげられます。

労働者が「文化的な最低限度の生活を営む」ためには、賃金が守られなければなりません。そのために設けられているのが最低賃金制度です。

もちろん最低賃金を下回らなければ法令違反ではありません。しかし、最低賃金では文化的な生活が送れるとはいえないと考えられます。そのため企業には、賃金の引き上げをめざし生産性を向上させるよう努力することが求められます。

定期監督を実施することで、労働条件の改善に向けた働きかけができるのです。

労働者が安全かつ健康に働ける環境の整備

定期監督には、労働者の安全や健康に配慮した労働環境を整備させる目的もあります。

先ほどご紹介した憲法25条には「健康で」という言葉も記されています。健康を維持しながら生活するためには、仕事中のケガや事故を防ぐことも大切です。そのため使用者には、労働者が安全に働ける環境を整えることが求められています。

定期監督は、企業内の労働環境を見直し改善するきっかけとしても重要です。

長時間労働の抑制も定期監督の大きな目的のひとつです。法令に違反する場合は非常に厳格に指導されます。

長時間労働の抑制についても、憲法25条の「健康で」という部分が関与しています。実際、長時間労働で精神的に大きな負担を感じ、追い詰められてしまう労働者は少なくありません。

健康に生活をするためには十分な休息が必要です。そのため定期監督では、労働者の負担が重くなり過ぎていないか、労働時間をひとつの判断材料としてとらえています。

定期監督の調査対象になりやすい業種や見られるポイントは?

定期監督の目的を念頭に置くと、調査対象や調査のポイントについてわかってきます。具体的に解説していきましょう。

 

定期監督の目的を考慮すると、以下のような企業・業種は調査対象となりやすいと考えられます。

・就業規則や36協定ついての届け出がなされていない

・労災が発生しやすい

・残業が多く長時間労働になりやすい

その中でも特に、労災や長時間労働が発生しやすい業種は定期監督の調査対象となりやすいでしょう。

具体的な業種をあげると、以下の通りです。

・製造業

・建設業

・運輸・運送業

・飲食業

製造業や建設業は危険な業務を伴うため、労災が発生しやすい業種といえます。また、運輸・運送業や飲食業はサービス残業が多く、長時間労働になりやすいと考えられています。

このような理由から、上記の業種は定期監督の調査対象として選ばれやすいです。

事例から見る、定期監督の目的と求められる書類とは?

ここで当事務所にご相談があった定期監督の事例をご紹介します。

労働基準監督署から「労働時間等に関する調査の実施について」という通知が届いたということで、当事務所にご相談をいただきました。

定期監督の目的

今回は「労働時間等に関する調査」ということでしたので、長時間労働の抑制を目的とした調査だと推測できました。実際、労働基準法で定められる時間外労働の上限規定が守られているかといったことを中心に、労働時間について重点的に調査されました。

定期監督時に提出を求められる書類

まとめ

定期監督の調査対象は、すべての企業から無作為に選ばれます。しかし、法令違反のリスクが高い業種は定期監督の調査対象となりやすいです。

特に、記事内でご紹介した業種にあてはまる事業主の方は、知らず知らずのうちに法令違反となっていないか、普段から気を付けておく必要があるでしょう。

今回解説しました「定期監督」について、少しでも難しいと感じられた場合は専門家へ相談することをおすすめいたします。社会保険労務士法人中込労務管理では、労働基準監督署対応や労働環境の改善に強い専門家が対応させていただきます。

・労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備

に分けられると思います。

 

・最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進

・労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備

・長時間労働の抑制

中込労務管理事務所編集部
執筆者情報 中込労務管理事務所編集部

人事と労務管理の専門家として、これまで各業種の企業さまへさまざまなサポートを提供してまいりました。顧問企業がお困りの際に「受け身」でご支援を行うだけではなく、こちらから「積極的に改善提案を行うコンサルティング業務」をその特色としております。人事労務にお悩みのある企業さまはもちろんのこと、社内環境の改善を目指したい方、また問題点が漠然としていてご自身でもはっきり把握されていない段階であっても、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

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