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労働基準監督署から是正勧告が届いた!その対応と今後の対策

2022.06.07 コラム

山梨を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人中込労務管理です。
企業からしてみると、労働基準監督署からの連絡はとても怖いものですよね。
中でも注意したいのが是正勧告が届いた場合。
対応しないと最悪の場合、送検の可能性も出てきます。
今回は、労働基準監督署から是正勧告が届いた場合の対応とその後の対策について解説をしていきます。

そもそも是正勧告とは何か?

そもそもですが、是正勧告とは何かを説明します。
是正勧告とは、労働基準監督署による調査の結果、労働基準法などへの違反が確認された場合に労働基準監督署がその違反事項に対して是正(改めること)を勧告することを言います。

是正勧告を受けた企業には是正勧告書が交付され、そこには是正期日の期限が記載されています。
この期日までに指摘された内容を是正し、是正報告書を作成、提出する必要があります。
期日までに是正しない場合は、労働基準監督署の勧告を無視する悪質な事業者とみなされる可能性がありますので、対応しなければなりません。
ちなみに、法令違反にはあたらないものの、改善すべき事項がある場合には「指導票」というものが交付されます。

つまり、是正勧告が届いた場合には、内容に従ってしっかり是正すること(対応すること)が大切です。

是正勧告書が届く前に、労働基準監督署から立ち入りがある

なお、是正勧告書とは、いきなり届くものではなく、事前に労働基準監督署から立ち入り調査があります。
立ち入り調査には4種類ありますので、簡単に解説します。

労働基準監督署から立ち入りの種類①定期監督

労働基準監査署は立ち入りについて年間計画をたてています。定期監督では、その計画時に調査対象となった会社を調査します。

労働基準監督署から立ち入りの種類②申告監督

申告監督とは、従業員から労働基準監督署に対して調査依頼の申告が入った時に行われる調査になります。目的は従業員からの申告内容を確認するためです。

労働基準監督署から立ち入りの種類③再監督

再監督とは、是正勧告後、報告の通りに改善されているかどうかをチェックするために行います。

労働基準監督署から立ち入りの種類④災害時監督

災害時監督とは、労働に関する重大災害が発生した際に行われます。目的は重大災害が発生した原因の究明や改善、再発防止策指導のためです。

立ち入り調査で労働基準監督署からチェックされる項目とは?

では実際に、立ち入り調査ではどんな項目がチェックされるのでしょうか?
チェック項目としては、労働基準法がきちんと遵守されているかどうかが焦点になります。
・労働時間
・就業規則
・賃金
上記の項目が重点的にチェックされることが多いようです。
特に労働時間や賃金に関しては従業員から多く相談される内容になっていますので、労働基準法に違反していないか確認しましょう。
労働基準法以外にも、労働安全衛生法に関してもチェックされますので、こちらも確認しておくことをお勧めします。

是正勧告には法的な拘束力はある?

率直に言えば、是正勧告は、行政指導ですので法的拘束力は伴いません。
勧告に従わないことでの罰則を受けることはありません。
しかし、是正勧告自体が、労働基準監督官から法令違反の事実があると指摘されている状況ですので、従わない場合は前述したように送検の可能性もあります。
法的な拘束力がないからといって、従わないことはお勧めできません。

是正勧告が入った場合の具体的な対応

法的な拘束力がなくとも、労働基準監督官から法令違反の事実があると指摘されているための勧告になりますので、適切な対応、処置を行う必要があります。
次に、是正勧告が入った場合の具体的な対応について解説いたします。

社会保険労務士に立ち合いを依頼する

労務のプロである社会保険労務士。
労働に関する法律にも明るい存在です。
企業の内情も知り、法律の知識や経験を活かして適切な回答をすることができます。
是正勧告後の報告書作成においても、適切なアドバイスを受けられますので、日程があらかじめわかっている場合には依頼をしておくことをお勧めします。
もちろん、社会保険労務士法人中込労務管理でも、対応しておりますのでお気軽にご相談ください。

自分たちで問題点を解決する

専門家に依頼をしない場合は、自分たちで問題点を解決する必要があります。
是正勧告を受けた場合、是正勧告書に記載された日までに是正を行わなければなりません。
是正勧告書に記載された違反項目を確認し、労働基準監督官が問題視している点がどこかを理解しましょう。そして、改善するために必要な具体的な施策をたてます。
もし、是正が間に合わないと判断した場合は、すぐに労働基準監督官に報告・相談をしてください。
監督官の承認が得られれば、指定期日に途中経過と是正完了予定日を記入した是正報告書を提出することが認められます。
調査に時間がかかることもあります。
自分たちでは対応が難しいと感じた場合は専門家に相談することをお勧めします。

今後、是正勧告を受けないためにできる対策

では、今後、是正勧告を受けないようにするためにできることはなんでしょうか?
それは、普段から労働基準法、労働安全衛生法などの法律や規則に沿った労働条件・労働環境となるように努めることです。
例えば、36協定の提出有無や内容についての確認、有給休暇の付与、取得状況についての確認、就業規則を作成する、またその周知などです。
日頃から問題点を無くしていくことで、是正勧告自体を防ぐ対策にもなります。

是正勧告でよく見られる違反例から学ぶ対策

次に、是正勧告に多い例を見ていきましょう。
よくある違反例は、裏を返せばどの企業でも起こりえる内容ということです。
3つ例を挙げますので参考にしてみてください。

就業規則に関すること

そもそも就業規則を作成していない企業も多数見受けられます。
労働基準法第89条では、事業場で常時10人以上の労働者を使用する使用者は、必ず就業規則を作成し、労働基準監督署に届出なければならないとあります。
これに違反した場合は罰則があるため是正勧告されることになります。

労働時間に関すること

労働基準法では、労働時間が定められています。
休憩時間を除いて、原則として1週で40時間、1日で8時間を超えて労働させてはならないことになっており、それを超過する場合はいわゆる36協定を結ぶ必要があります。
この36協定を締結せずに時間外労働をしている場合、労働基準法違反となり是正勧告されることになります。

有給に関すること

有給休暇も違反例が多く見られます。
例えば、
・有給休暇を取得する権利があるのに、有給休暇を与えない
・忙しいことを理由に、従業員からの有給休暇の申請を断る
有給休暇は、雇入れの日から6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した者に与えなければならないと労働基準法で定められています。これも違反した場合、労働基準法違反となり是正勧告されることになります。

是正勧告を受けないためには日頃の管理が大切です

是正勧告とは、労働基準監督官から法令違反の事実があると指摘されることとお伝えしました。
労働基準法、労働安全衛生法などに違反のない労働環境の実現が勧告を受けない対策になります。
日頃から労働条件や労働環境の管理を徹底するとともに、法改正などにも対応していく必要もあります。法的なことや専門的なことは難しいと感じることもあるでしょう。
社会保険労務士法人中込労務管理では、経営者が安心して経営できるように、労務管理に関するサポートを行っております。
また、労働基準監督署の臨検や是正勧告に対するアドバイスも実施しておりますので、お気軽にご相談ください。常日頃からのサポートにより安心できる労働環境の実現を目指します。

中込労務管理事務所編集部
執筆者情報 中込労務管理事務所編集部

人事と労務管理の専門家として、これまで各業種の企業さまへさまざまなサポートを提供してまいりました。顧問企業がお困りの際に「受け身」でご支援を行うだけではなく、こちらから「積極的に改善提案を行うコンサルティング業務」をその特色としております。人事労務にお悩みのある企業さまはもちろんのこと、社内環境の改善を目指したい方、また問題点が漠然としていてご自身でもはっきり把握されていない段階であっても、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

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