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医師の働き方が変わる!追加的健康確保措置とは?

2022.12.26 お知らせ・セミナー情報コラム

白衣を着た医師の男女山梨を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人中込労務管理です。
いよいよ2024年に施行が迫る医師の働き方改革ですが、何から手を付けていいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか?
今回の改正のポイントは大きく3つ。
時間外労働の上限規制、追加的健康確保措置の実施、医療機関勤務環境評価センターの設置。
今回は、その中でも追加的健康確保措置について解説していきます。

追加的健康確保措置とは

ピラミッド状に積み上げられた石の上に立つ医師と聴診器医師の働き方は、一般会社員の働き方とは異なる場合があります。
それは、人命救助という仕事ゆえ、労働時間を縛ることが難しいからです。

そのため、医師の勤務上、やむを得ず労働基準法の労働時間の上限を超える場合にいくつか水準を設けることになりました。

A水準:勤務の上限は原則年960時間
B水準・連携B水準・C水準:一部の医療機関においてA水準を超える内容の36協定を結ぶことができる(年1,860時間が上限)

基準を設けたとはいえ、医師の労働環境を守り、健康確保をするためには、一般会社員の「健康福祉確保措置」(平成30年改正労基法・労基則)のように、限度時間を超えて労働する労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置を設ける必要があります。

「健康福祉確保措置」を更に上回るような措置を講ずることを「追加的健康確保措置」といいます。

具体的には、下記にような措置を講ずる必要があります。

■追加的健康確保措置①
・連続勤務時間制限
・勤務間インターバル
・代償休息

■追加的健康確保措置②
・面接指導
・就業上の措置

そうすることで、医師の過労を緩和し医師の健康を守ることを目的としています。
ひいては、医師不足のために医療提供がなされないという事態を防ぐための措置といえます。
まだ先のこととはいえ、これから準備することは多いと言えます。
何をしていいかわからない、という方は労務のプロ・社会保険労務士法人中込労務管理でもご相談にのっておりますのでお気軽にご連絡ください。

追加的健康確保措置①

次に、追加的健康確保措置の具体的な内容について解説していきます。
追加的健康確保措置①の内容としては、1日に必要最低限の睡眠時間(6時間程度)を確保し、1日~2日程度で労働による疲労を回復できるようにするための措置になります。
具体的には各項目で説明していきますが、以下の措置を設けることを求められています。

・連続勤務時間制限
・勤務間インターバル
・代償休息

連続勤務時間制限

連続勤務時間制限とは、宿日直許可を受けている場合を除き、勤務時間を28時間までとする内容です。※宿日直許可を受けている場合は、宿日直中に十分睡眠を確保し、一定の疲労回復が可能であると考えられているため除くこととされています。

仮に日中と同様の労働に従事することとなった場合には、翌日以降、必要な休息がとれるように配慮することも盛り込まれており、医師が連続勤務の後にまとまった休息が取れるようにするものです。

注意
C1水準が適用される初期研修医については、以下のいずれかとすることになっています。
• 一日ごとに確実に疲労回復させる観点で、後述の勤務間インターバル9時間を必ず確保することとし、連続勤務時間制限としては15 時間とする。
• 臨床研修における必要性から、指導医の勤務に合わせた24 時間の連続勤務時間とする必要がある場合はこれを認めるが、その後の勤務間インターバルを24 時間とする。

勤務間インターバル

勤務間インターバル確保とは、当直及び当直明けの日を除き、24 時間の中で、通常の日勤(9時間程度を超える連続勤務)後の次の勤務までに9時間のインターバル(休息)を確保することをいいます。

注意
当直明けの日(宿日直許可がない場合):28時間連続勤務制限を導入した上で、この後の勤務間インターバルは18時間とする。
当直明けの日(宿日直許可がある場合):通常の日勤を可能とし、その後の次の勤務までに9時間のインターバルとする。

代償休息

代償休息とは、長時間の手術や急患の対応等のやむを得ない事情によって、例外的に連続勤務時間制限・勤務間インターバル確保ができず長時間勤務を行った場合、代わりに休息を取るという措置です。変わりに休息を与えることで、医師の疲労回復を図るための措置です。

注意
代償休息はなるべく早く付与することで、長時間勤務が発生してもその都度、時間単位で休息を付与することが求められています。

追加的健康確保措置②

追加的健康確保措置②の内容としては、追加的健康確保措置①を実施しても、長時間勤務による負担や健康状態は個人座が生じるのが当然であることから、専門医による「面接指導」を行う措置になります。つまり、専門医が個人個人の健康状態をチェックし、必要であればその医師の労働を禁止したり適切な対応をするための措置となります。
具体的には各項目で説明していきますが、以下の措置を設けることを求められています。

・面接指導
・就業上の措置

面接指導

追加的健康確保措置②における、専門医の面接指導とは、時間外労働が月100時間以上となる医師への面接指導が義務付けられています。
また、月100時間未満であっても、それを超える前に睡眠時間や疲労の状態などを確認し、必要に応じて就業上の措置をとることとされています。

例えば、A水準で当月の時間外労働実績80時間以上であるとすると、睡眠時間の確保の状態や疲労の蓄積度合いの確認を行い、疲労の蓄積が確認された医師については労働時間が100時間以上となる前に面接指導を実施する、といったような対応をします。
疲労の蓄積が確認されなかった場合は労働時間が100時間以上となった後での面接指導でも差支えないとされています。
つまりは、当月の時間外労働実績が月80時間~100時間未満となった場合は専門医の面談指導の必要が生じてきますので、その準備をしておく必要があります。

就業上の措置

追加的健康確保措置②における面談指導については前述いたしました。
それでは、具体的な就業上の措置とは、一体どのようなものでしょうか?
面談指導を実施した専門医の面接結果に基づき、管理者が就業禁止などの措置をとることが就業上の措置といいます。
具体的な内容をあげると、面接指導を実施した専門医から面接指導の結果を意見書もしくは報告書として管理者に提出します。

本人への指導区分(0.措置不要、1.要保健指導、2.現病 治療継続又は医療機関紹介)
就業区分(0.通常勤務、1.就業制限・配慮、2.要休業)

上記を専門医が判定し、それを元に管理者は当該医師の必要な就業上の措置(就業禁止、休息を付与する等)を最優先で講じます。
どのような判定が出たらどのような措置を講ずるかも、事前に定義しておくといいでしょう。

追加的健康確保措置について詳しく知りたい場合は専門家まで

手元のタブレット画面を男性に見せるスーツの女性いかがでしたでしょうか?
長時間労働をしている医師の皆様に労働時間の短縮や健康確保のため施行されますが、とはいえ、今までの慣行を変えるのは容易ではありません。
制度の施行が近づき、何から手を付けていいのか分からず焦っていらっしゃる管理者の方もいるかもしれません。
そんな時はぜひ、人事労務の専門家に聞いてみましょう。


まずご自身が今抱えている疑問、不安を第3者に聞いてみるだけでもすっきりするかもしれません。
社会保険労務士法人中込労務管理では問い合わせ方法も沢山用意しておりますので、皆さんのやりやすい方法で構いませんのでお気軽にご相談ください。

中込労務管理事務所編集部
執筆者情報 中込労務管理事務所編集部

人事と労務管理の専門家として、これまで各業種の企業さまへさまざまなサポートを提供してまいりました。顧問企業がお困りの際に「受け身」でご支援を行うだけではなく、こちらから「積極的に改善提案を行うコンサルティング業務」をその特色としております。人事労務にお悩みのある企業さまはもちろんのこと、社内環境の改善を目指したい方、また問題点が漠然としていてご自身でもはっきり把握されていない段階であっても、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

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