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クリニックスタッフの離職を防ぐ、人事評価制度・賃金制度とは

2023.04.26 お知らせ・セミナー情報コラム

聴診器とタブレットの写真

山梨を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人中込労務管理です。
2024年4月1日からの医師の働き方改革の導入により、職場の労務管理を見直し始めているクリニックも多いかと思います。
今回は更に人事評価制度・賃金制度をテーマにお話していきたいと思います。
人事評価制度・賃金制度を導入することは、スタッフのモチベーションを上げ、離職率低下に繋がっていきます。
人事評価制度・賃金制度とは何か?どのように導入していけばいいのか?わかりやすく解説していきます。

クリニックを取り巻く環境

まず、人事評価制度・賃金制度のお話の前に、現在のクリニックを取り巻く環境がどのようなものかをお伝えしていきます。
現在、クリニックでは来院数は増加傾向にあり、超高齢化社会を迎えるにあたり、更に来院数も伸びていくことが見込まれています。
その一方で、過重労働やスタッフの離職など、運営の悩みがつきないと感じるクリニック経営者の方も多いようです。
その原因は何でしょうか?
経営者側から見た不安要素、スタッフから見た悩み、来院者の目線、総合的に見た原因を追求していきたいと思います。

クリニック経営者が抱える不安要素

クリニック経営者が抱える課題を大きく分けると、「ヒト」、「モノ」、「オカネ」と分類できます。
スタッフ採用がうまくいかない、スタッフが定着しない、機材連携がうまくいかない、患者さんがこない…などが挙げられます。
最近ではクリニックで働くスタッフの離職率の高さについて悩んでいる経営者様の声もよく耳にします。
人材の問題は運営の根幹にも関わってくる大きな問題です。
離職を考えるスタッフはどのように感じているのでしょうか?

クリニックスタッフが職場に対して感じている悩み

では、視点を変えて、クリニックスタッフが感じている悩みには一体どういったものがあるのかを見ていきましょう。
よくある不満にあげられるのが、「給与・待遇」、「人間関係が悪い」、「休みが少ない」「やりがいがない」等です。
採用の段階で、給与や待遇、休みなどは提示されますので、理解の上で働いていると経営者の方は思うでしょう。
しかし、働き続けるにつれて、「いつまで、どのくらい」頑張れば給与や待遇に反映するのかが見えないと、不安になり、それがいずれ不満になり、不信になっていくのです。
裏を返せば、待遇も休日も、職務内容も事前に「いつまで、どのくらい」頑張れば「どう」なるのかを理解があれば、不満は起きにくいということがわかります。
つまり、人事評価制度・賃金制度を設定することはスタッフの不満要素を取り除くことに繋がるということです。

来院者がクリニックを選ぶポイントは?

では、次に来院者がクリニックを選ぶポイントも見てみましょう。
スタッフが職場環境に満足してくれても、来院者が来なければクリニックは成り立ちません。
来院者がどういった目線でクリニックを選ぶかを把握しておくことも重要なポイントになります。

来院者の方がクリニックを選ぶポイントとしては、立地条件もあれど、クリニック自体の評価や対応を重視する声が多いと言えます。
クリニックの職場環境が良くなれば、医者、スタッフの対応の良さがあがり、医者の評判もあがり、最終的にはクリニックの評判があがると言えます。
人事評価制度・賃金制度を設定し、職場環境を整えることはいいクリニックを作ることのベースになるということです。

そもそも人事評価制度・賃金制度とは?

画面に表示された人を選んでいるイラスト

そもそも、人事評価制度・賃金制度とは、どういったものになるのでしょうか?
まずはその定義を理解していきましょう。
「人事評価制度」とは、スタッフの働きに対して、そのパフォーマンス性やスキルを評価し、お給料や昇給などに反映する仕組みのことを言います。
「賃金制度」とは、学歴、年齢、勤続年数などを基準にスタッフへの賃金の支払いの根拠となるルールのことを言います。
つまり、スタッフがどのような働き方をしたらお給料がいくらになり、どのくらい働いたらいくらになる、といったような根拠を示すことを指します。

人事評価制度・賃金制度の目的

まず、人事評価の目的ですが、スタッフの待遇・処遇・それに関する査定を公平性に決めるためです。
正当な人事評価をすることで、公平な評価に基づく給与・賞与、並びに昇進・昇格などを決定します。
次に、賃金制度の目的とは、成果や勤続年数などによる軸を定めることにより、長く勤めるメリットを感じてもらうことがあります。また、 職能給であれば能力を高めることが賃金上昇につながると認識してもらえるため、スタッフの意欲向上に繋がります。
こういった取り組みは緻密な設計も必要になります。労務のプロである社会保険労務士法人中込労務管理でもどのような制度設計がベストかご提案させていただいておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

クリニックが人事評価制度・賃金制度を導入するメリット

一般的な人事評価制度・賃金制度について理解したところで、クリニックが人事評価制度・賃金制度を導入するにはどういったメリットがあるのでしょうか?
次に具体例を挙げながら解説していきます。

評価が公平になることでスタッフのモチベーション向上に繋がる

人事評価制度・賃金制度の最大のメリットは、評価が公平になり、透明性が増すことです。
評価軸があることで、スタッフもどう動くことが評価につながるか理解していき、実際に評価されることでやる気が増す、という好循環を生み出します。
スタッフのモチベーションがあがることは仕事の質があがることに繋がっていきます。

クリニックの理念を理解してくれるスタッフが増えて組織力が高まる

人事評価制度、賃金制度の設定は、クリニック運営側の理念も反映している内容です。
クリニックのためになる行動をすることが評価につながると理解したスタッフが増えることで、クリニックが本来目指す姿に近づいていく効果が見込めます。
そういったスタッフが増えることで、組織全体の力が高まり、クリニック全体の評価に繋がっていきます。

離職率の低下につながり、人材育成ができるようになる

前述したクリニックスタッフの職場に対する悩みに多かったのは、評価されない、給与に納得できないという内容も多く挙げられていました。
人事評価制度、賃金制度の設定はその解決に繋がります。
不満や不安の解消したスタッフがクリニックに帰属意識を持ち働いてくれるようになるため、離職率の低下、さらには人材育成もできるようになっていきます。

クリニックではどうやって人事評価制度・賃金制度をしたらいい?

さて、人事評価制度・賃金制度の設定をするメリットを理解したところで、具体的にはどのように導入すべきかわからない、という声も多くお聞きします。
次に、クリニックで人事評価制度・賃金制度を導入するポイントを解説していきます。

人事評価制度・賃金制度を設定する時のポイント

人事評価制度・賃金制度を設定する時のポイントとして、スタッフのやる気を引き出すことが重要になります。
クリニックで働くスタッフの中には新しい制度を受け入れにくいという方もいらっしゃいますので、そのような方に配慮した導入の仕方を検討するのもいいでしょう。
次に、人事評価制度・賃金制度を設定する時の具体的なポイントを解説します。
人事評価制度・賃金制度の設定はクリニックによっても千差万別ですので、細かな設定については専門家にご相談いただくことをお勧めします。

キャリアパスをイメージした内容を設定する

キャリアパスとは、英語で表記すると「Career Path」になります。
Careerは職歴、Pathは道を意味します。
つまり、キャリアの道筋、ということです。
その職場でどのようなキャリアが積めるのかを道筋を作る、というイメージです。
働き続ける以上、年齢や勤務年数に応じたキャリアを用意することで、ゴールが見えやすいというメリットがあります。

務要件を設定する

職務要件とは、職務の内容を簡単に書き表したものを指します。
その職種についての内容を明記し、どのような対応ができればよいかを明示します。
さらにそこから、職種や職務レベルで期待される成果や、期待される行動をわかりやすくまとめます。
つまり、この職種であれば「この内容」の業務ができること、「どのように行動し、こういった成果」を期待するということを誰しもにわかりやすく表記します。
運営側が期待する行動をスタッフに起こさせることを目的にしています。

基本姿勢や行動指針などを明示し、期待した行動ができているか評価する

人事評価制度・賃金制度の設定は、そのクリニックでの「ゴール」を設定するようなものです。
キャリアパスの設定、職務要件の設定に加え、業務に関わらない基本姿勢や行動指針なども設定することで、各スタッフの行動基準ができ、期待する行動をしやすくなります。
そして、期待される行動に近しいスタッフを評価します。

医師、スタッフでの給与体系を設定する

 

クリニックで働く人たちのイラスト
クリニックでは、医師、看護師、看護助手、受付事務等、様々な職種が働いています。
職務も違えば職歴も経験も違うスタッフを全て同じ土俵で評価することは公平とは言えません。
医師なら医師だけの職種ごとでの評価、給与体系を設定し、その職種ごとの評価を設定します。

クリニックでの人事評価制度・賃金制度の導入は専門家に依頼するとスムーズ!

いかがでしたでしょうか?
今回はクリニックでの人事評価制度・賃金制度の導入について解説いたしました。
人事評価や賃金制度についてはその職場職場の特色がありますので、それらを活かす設計にしていくことが重要といえます。
特に初めて導入するクリニックであれば、最初の導入が何年も引きずってしまうということも考えられます。
スタッフのモチベーションにも関わってくる大事な制度ですので、導入スタート時から専門家へ相談し、完璧な状態でスタートするのが望ましいでしょう。
もちろん、社会保険労務士法人中込労務管理でもご相談にのっておりますので、お気軽にご相談ください!

中込労務管理事務所編集部
執筆者情報 中込労務管理事務所編集部

人事と労務管理の専門家として、これまで各業種の企業さまへさまざまなサポートを提供してまいりました。顧問企業がお困りの際に「受け身」でご支援を行うだけではなく、こちらから「積極的に改善提案を行うコンサルティング業務」をその特色としております。人事労務にお悩みのある企業さまはもちろんのこと、社内環境の改善を目指したい方、また問題点が漠然としていてご自身でもはっきり把握されていない段階であっても、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

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