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過重労働に警告!「かとく」の重点監督対象とその対策

2022.07.04 コラム

山梨を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人中込労務管理です。

労働に関して問題視されているのが過重労働、いわゆる長時間労働に関することです。

厚生労働省のHPでも、「労働時間が60時間以上の労働者の割合は近年低下傾向にあるものの引き続き高く、依然として恒常的な長時間労働の実態が認められるほか、過労死等に係る労災認定件数も引き続き高水準で推移しています。」という記載があります。

企業側としても、過重労働問題には充分配慮して取り組んでいかなければなりません。

今回は、過重労働、「かとく」に関してお伝えします。

「かとく」とは?

そもそも、「かとく」という言葉をご存じでしょうか?

「かとく」とは、違法な長時間労働を行う事業所に対して、監督指導を行う過重労働撲滅特別対策班の通称になります。

「悪質な長時間労働の対策強化」「過重労働、過労死の防止」を目的として、長時間労働が常態化している企業を取り締まる組織です。

2015年4月、東京労働局と大阪労働局に新設されました。

「かとく」が強化されることになった背景

長時間に及ぶ労働は肉体的にも影響を及ぼすことが医学的にも確認されており、最悪の場合は過労死にも繋がる危険な状況です。

しかし、残念ながら、企業の中には長時間労働を常態化させ、従業員に過重労働を強いる企業も存在します。

2014年11月に厚生労働省が「過重労働撲滅キャンペーン」を展開した折、4561ヵ所の企業を調査したところ、2304ヵ所の企業で違法な時間外労働が実施されていることがわかりました。

あまりの数の多さに、大規模な事案や難易度の高い事案にも対処できるように、2015年4月に「かとく」が新設される運びとなりました。

「かとく」が新設された年の同7月、大手小売店チェーン運営会社が従業員に対して1か月平均で残業時間約138時間という残業をさせていたことが「かとく」により明るみにされました。

同社の役員・店長の二名は労働基準法違反で書類送検となり、「かとく」の名を世に知らしめることとなりました。

大手企業でさえ是正勧告をしても、なかなか改善が見られないことも多く、労働時間の改ざんなども行う企業も見られるため、「かとく」ではITにも強い経験豊富な労働基準監督官が選任されています。

なお、毎年11月、厚生労働省により、調査企業数、違法な長時間労働があった企業数を公表する「過重労働解消キャンペーン」が行われています。

ここでは重点監督の実施結果が公表されますので、参考にしてみてください。

「かとく」では、どのような調査が入る?

「かとく」では、東京と大阪に各10名程の労働基準監督官が配置されています。

各労働基準監督官は、企業に立ち入り調査・指導・捜査する権限を持っています。

立ち入り調査では、以下の2点について調査がされます。

 

・残業時間が遵守されているか(36協定など含む)

・違法な過重労働(長時間労働)がないか

 

更に、違法性が認められる事案については、特別司法警察員として検察に送検する権限を持っています。

 

「かとく」の重点監督対象となるのは?

「かとく」設立当初は、残業時間が月100時間を超える企業について、重点監督対象としていましたが、現在では、長時間労働法規制の執行強化策として月80時間を超える企業について重点監督対象が広げられています。

なお、悪質な違法残業の事実が認定された場合には、刑事罰が課されることもあります。

労働基準法で定める適正な労働時間

労働基準法により、労働時間は1日8時間、週40時間までと定められています。

法定労働時間外の労働をするには、36協定を結ぶ必要があり、最大で月45時間、年間360時間までの時間外労働が認められます。

自社の残業時間が適正か、36協定をまだ結んでいないなどのご相談があれば、社会保険労務士法人中込労務管理でも確認、対応が可能ですので、ご相談ください。

「かとく」の重点監督対象にならないためにできる対策

企業が、「かとく」の重点監督対象にならないためには、残業時間が月80時間を超えないことが重要ですが、それ以上に社内の管理をする必要があります。

これから調査対象にならないためにも、下記の項目について対応していくことをお勧めします。

 

・従業員の正確な労働時間を把握すること

・従業員が休憩をとれる時間を確保すること

・長時間労働をしている従業員には医師の面接指導を実施すること

 

労働時間管理の見直しは専門家にご相談ください

「かとく」の調査が入った場合、書類送検や刑事罰が課されることもありますが、それは違法性がある判断された場合です。

当然ながら、違法性がない限り、必要以上に怖がることはありません。

しかし、労働時間に関する問題はどの企業も頭を抱えています。

今後の対策などについては専門家へ相談することも視野に入れていただければと思います。社会保険労務士法人中込労務管理でも労働時間に関する専門家が対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

中込労務管理事務所編集部
執筆者情報 中込労務管理事務所編集部

人事と労務管理の専門家として、これまで各業種の企業さまへさまざまなサポートを提供してまいりました。顧問企業がお困りの際に「受け身」でご支援を行うだけではなく、こちらから「積極的に改善提案を行うコンサルティング業務」をその特色としております。人事労務にお悩みのある企業さまはもちろんのこと、社内環境の改善を目指したい方、また問題点が漠然としていてご自身でもはっきり把握されていない段階であっても、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

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