予防労務とは?具体的な取り組みと心構えも解説
- 2023.06.21 コラム
山梨を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人中込労務管理です。今回は、予防労務について解説します。
労働災害や労働疾患を防ぐための取り組みとして、近年注目されているのが、予防労務です。従業員の健康と安全を守り、企業にとってもさまざまなメリットがある予防労務について詳しくお伝えします。具体的な取り組みや、予防労務に取り組む際に必要な心構えについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
予防労務とは
予防労務とは、労務トラブルが起きないよう予防する考え方のことを言います。具体的には、従業員が労働災害や健康被害などを被らないように予防的な対策を講じることを指します。事前に危険やストレスなどを発見し、未然に防ぐことで、安全で健康的な職場環境を作り出すための取り組みです。
予防労務が必要な理由
予防労務の目的は、労務に関するトラブルが起きてから対応するのではなく、トラブルの起きにくい環境を作っていくことで従業員が快適に働ける職場を維持することです。
労働災害や健康被害が発生した場合には、従業員に多大な被害を与えるだけでなく、企業にとっても経済面や評判などで大きなダメージがあります。一度労務に関するトラブルが発生してしまうと、従業員や世間の不信感は大きくなり、信頼を取り戻すことは非常に難しくなるのです。
従って、労務トラブルが発生してからではなく、未然に防ぐ予防労務がとても重要と言えるでしょう。
予防労務を行うメリット
予防労務を行う主なメリットを4つ解説します。従業員と会社側、両方に大きなメリットがありますので、確認しておきましょう。
生産性の向上
従業員が健康で安全な職場環境で働けるようになると、各々の業務に集中でき、生産性の向上が期待できます。また、病気や体調不良などによる欠勤や遅刻が減るので、業務もスムーズに進みやすくなります。
従業員のモチベーション向上
職場環境が適切に整備されると、従業員は仕事に対するモチベーションが高まります。職場環境が快適になることで、従業員同士のコミュニケーションや協力関係が良好になることも期待できるでしょう。
コスト削減
予防労務によって、労務トラブルを防ぐことで、医療費や補償費用、業務停止などによる損失コストの削減につながります。
法的リスクの回避
予防労務では、労働安全衛生法や、労働基準法、労働者災害補償保険法などの法令を順守するよう取り組みます。予防労務を実施しておくことで、労働災害や健康被害が発生した場合の法的なリスクを回避することができるのです。
予防労務の具体的な取り組み
予防労務の具体的な取り組みは多岐にわたりますが、従業員の健康と安全を守るために欠かせないものです。以下7つの項目に分けて解説していますので、しっかり確認しておきましょう。
職場の安全確認
労働災害を防ぐために、職場の安全確認が必要です。具体的には、安全対策の整備や安全教育の実施、危険物の適切な取り扱いなどが挙げられます。例えば、危険な作業を行う場合には、適切な安全装置の設置や、作業手順の作成、従業員への教育・訓練などを行いましょう。
健康管理の徹底
従業員の健康管理は、予防労務において欠かせません。従業員の健康を守るために、健康診断の実施や健康相談の受け付け、生活習慣の改善などを行いましょう。
また、ストレスチェックを実施することで、ストレスによる健康被害の予防にもつながります。ストレスによる病になってしまうリスクを把握し、適切な対策を講じましょう。
職場環境の改善
職場環境の改善は、予防労務の重要な取り組みの一つです。職場環境が悪いと、ストレスや疲れの蓄積の原因となり、従業員の健康や生産性に悪影響を与えます。
具体的には、快適な室温や照明環境の整備、騒音や振動の軽減、座り心地の良い椅子やデスクの導入などを行いましょう。
働き方改革の推進
働き方改革の推進は、従業員のストレス軽減や、ワークライフバランスの改善につながります。労働時間の短縮や柔軟な働き方の導入などが効果的です。
健康づくりの支援
従業員の健康づくりに対して支援を行うことも、予防労務の一環です。例えば、社員食堂での栄養バランスの取れた食事の提供や、運動クラブ活動の運営、健康セミナーの実施などが挙げられます。
問題解決の迅速化
従業員からの相談や苦情などに対して迅速かつ適切に対応することで、トラブルを防ぐことにつながります。相談窓口を設置したり、研修を実施したりしましょう。
リスクマネジメントの徹底
労務トラブルを防ぐためには、リスクマネジメントの徹底が必要不可欠。例えば、危険な作業や環境に関するリスク評価や、事故発生時の対応マニュアルの作成などが挙げられます。
予防労務に必要な心構え
予防労務に取り組む上で、必要な心構えについて解説します。大きく5つの項目をお伝えしますので、常に頭に置きながら、予防労務を進めましょう。
従業員の健康と安全を最優先に考える
予防労務を行う上では、従業員の健康と安全が最優先です。従業員の健康を守り、労働災害や労働疾患の予防を徹底しましょう。また、従業員の声に耳を傾け、問題や改善点を把握することも大切です。
経営理念として予防労務を浸透させる
予防労務を実施するためには、経営層からの積極的な支援が必要です。経営理念として予防労務を掲げ、従業員にも浸透させていきましょう。
取り組みを継続的に行う
予防労務は、一度行っただけでは効果が得られにくいので、継続的な取り組みが重要です。定期的な安全衛生教育や健康管理、作業環境の改善など、常に改善点を見つけながら、取り組みを継続的に行いましょう。
従業員とのコミュニケーションを大切にする
従業員とのコミュニケーションを大切にすることで、問題点や改善点を把握しやすくなります。従業員が安心して意見を出せる雰囲気を作り、積極的に意見を受け入れる姿勢を心がけましょう。
専門家を活用する
予防労務には専門的な知識や情報が必要です。社内に専門的な知識を持った担当者を配置したり、外部の専門家からの助言を受けたりしましょう。労働保険関係機関の情報や、労働安全衛生法などの法令を把握することも大切です。
それぞれのケースに応じて、会社側は対応策の検討が必要です。社会保険労務士法人中込労務管理では、企業の状況に応じてご提案をさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。
予防労務に関するご相談は社会保険労務士まで
予防労務は、従業員の健康と安全を守り、生産性向上や企業イメージの向上など、企業にとって多くのメリットがある重要な取り組みです。従業員と企業が共に成長していくためにも、予防労務を取り入れた労働環境の整備が求められます。
今回解説した「予防労務」について、少しでも難しいと感じられた場合には、専門家へ相談することをおすすめします。社会保険労務士法人中込労務管理では、予防労務に強い専門家が対応させていただきます。
人事と労務管理の専門家として、これまで各業種の企業さまへさまざまなサポートを提供してまいりました。顧問企業がお困りの際に「受け身」でご支援を行うだけではなく、こちらから「積極的に改善提案を行うコンサルティング業務」をその特色としております。人事労務にお悩みのある企業さまはもちろんのこと、社内環境の改善を目指したい方、また問題点が漠然としていてご自身でもはっきり把握されていない段階であっても、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。
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