クリニックにこそ労務管理が必要!経営にもいい影響を与える労務管理の重要性
- 2023.04.02 お知らせ・セミナー情報コラム
山梨を中心に、企業の労務管理を支える社会保険労務士法人中込労務管理です。
2024年4月1日からの医師の働き方改革に対応に追われているクリニックも多いのではないでしょうか?
医師の働き方改革で医師や医療機関関係者の労働時間に関して是正が入ることになり、改めて労務管理について見直しを始めているクリニックも多々あると思います。
労務管理をしっかり対応することで、実は経営にもいい影響を与えることもできます。
そう思うと、労務管理に対しても苦手意識が少なくなるかもしれません。
今回は、クリニックにこそ取り入れてほしい労務管理についてお伝えします。
目次
クリニック経営を円滑にすることにもつながる労務管理
一般企業と異なり、クリニックでの労務管理はあまり進んでいるとは言えませんでした。
しかし、クリニックとはいえ、経営、運営していくという意味では一般企業と同じ。
その経営、運営を円滑にしていくためにも、労務管理は重要な役割を担っています。
なぜなら、組織を構成しているのは「人」
その管理をうまくしていくことで組織が円滑に回っていきます。
それでは次に、労務管理とは?その具体的な対策などをお伝えしていきます。
そもそも労務管理とは?
クリニックには馴染みにくい言葉である「労務管理」
あまり聞きなれないと思う方もいらっしゃるかもしれません。
まずは言葉の意味を理解することもとても大切です。
労務管理とは、一言で言えば「労働環境」
クリニックの経営者や運営者とクリニックのスタッフとの間で結ばれる「労働条件」に関することを指します。つまり、労働時間や休日・休暇、福利厚生、賃金や賞与、手当てなどのことを言います。
それらを維持、向上させることが、労務管理の役割と言えます。
クリニックの労務管理が難しい理由
一般企業と違い、労務管理が難しいと言われるクリニック。
次に、その背景を理解していきましょう。
多様な専門職が混在している
クリニックでは、たくさんの専門職がその場に集まっています。
医師、看護師、技師等多岐に渡ります。
専門職種であれば、その処遇や労働条件が異なるのは当然です。
ひとつの基準で評価することも難しければ、複数の職種の待遇を統一して管理することは尚更難しいといえます。
評価軸が異なるのも、待遇の違いで不平や不満が出やすい環境でもあります。
しかし、逆をいえば労働条件などを明示し総合的な人事・労務管理を行うことで不平不満を解消していくことができます。
職種によって労働時間が異なることが多く管理しづらい
多少な職種が混在するということは、その労働時間も異なるケースが多々あります。
特にクリックでは、スタッフが2交代制で実施しているケースなどが問題視されているケースも見受けられます。
労働時間の管理についてはそのクリニックごとの規定もありますが、法定労働時間を超過してしまうケースもあり、それらが問題視されています。
併せて読みたい:長時間労働を是正するための「働き方改革のポイント」と「対策」
労務管理への意識がまだ希薄
そもそもクリニックでは労務管理の意識がまだ浸透していないことが多いのも現状です。
2024年4月1日からの医師の働き方改革を受けて労務管理のことを意識しはじめた 、というクリニックも多いかと思います。
それだけ、クリニックの運営に忙しくて手が回らない、院長先生も実務に取り組んでいるため経営に注力することが難しい、というのがクリニックの現状であると感じています。
クリニックの代表者は医師であり、医療の専門家ですが、代表であるからには経営者である意識も必要となります。
よりよいクリニック運営をするため、必要な意識を身に着けていきましょう。
しかしながら、新しいことを始めるのは苦労も伴います。
そんな時は人事労務の専門家である社会保険労務士にご相談ください。
もちろん、社会保険労務士法人中込労務管理でも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
クリニックでよく発生するトラブルとは
労務について理解したところで、クリニックで起こりやすい労務に関するトラブルについてお伝えしていきます。
事前にトラブルを把握していくことで冷静な対応や、未然に防ぐ手段も構築できます。
ここからは代表的なトラブルについてお伝えしていきます。
待遇面、残業など労働条件に関するトラブル
クリニックに限った問題ではないのですが、労務関係のトラブルで最も多いのは待遇面、労働条件に関することです。
業務や労働に対して、それに見合った給与が得られていない場合や、退職金がない/少ない、残業代が支払われていないなどのトラブルが多くあります。残業時間に関することもトラブルが発生しやすい内容になります。
人間関係に関するトラブル
前述したように、クリニックには様々な職種の方が集まっています。
業務内容も評価軸も違えば価値観も異なるため、職種ごとに派閥ができやすいという話もよく聞きます。そういった人間関係に関するトラブルが発生しやすいのもクリニックの傾向といえます。
労災問題に関するトラブル
医療現場は労働災害問題など思いがけない事態が起こりやすい現場です。
スタッフの負傷や感染などが代表例ですが、患者さんとのやりとりや職場の人間関係、業務の責任やストレスによる精神疾患なども否定できません。
そういった労災関係のトラブルが発生しやすい環境である以上、それらを管理していくこともクリニックの労務管理上要な項目になります。
クリニックで労務管体制が整うことで与えるいい影響3つ
さて、クリニックで発生しやすい問題点を解説しましたが、その問題点を解決していくことはクリニックの経営、運営においてプラスになる要素となります。
具体例を上げていくと理解が深まりますので、クリニックで労務管体制が整うことで与えるいい影響について3例ご紹介していきます。
労働条件の明確化でスタッフのモチベーションがあがる
クリニックで起こりやすいトラブルに、待遇面、残業などの労働条件があるとお伝えしました。
これはひとえに、クリニック側とスタッフで待遇面、残業など労働条件に齟齬があるが故に発生する問題であるともいえます。
そうであれば、待遇面、残業など労働条件を明確化することでスタッフとの相互理解が深まり、不平不満が減る、ひいてはスタッフのモチベーションにつながるというメリットがあります。
不祥事が起きた場合の処分や解雇の理由が正当になる
クリニックで起こりやすい問題のひとつに、不祥事も挙げられます。
医療ミスの発生などの不祥事が起きた場合、労務管理をしていないとスタッフの処分や解雇について不当になる可能性があります。
逆を言えば、日頃管理がされていれば、不祥事を起こしたスタッフに対して処分や解雇を行っても、不当解雇として訴えられる可能性が低くなります。
労働環境の安定化は安定した経営につながる!
お伝えしたように、労働環境を管理、安定化させていくことはスタッフの不平不満を解消し、モチベーション向上に繋げていくことが可能です。
安定した労働環境は安定した労働力を生み、安定した労働力は適切なサービスを生み、顧客満足度を高める結果となります。
まずは基盤を整えることの重要性をご理解いただけたのではないでしょうか。
クリニックで対応すべき労務管理とは
それでは、次にクリニックで対応すべき労務管理の具体例をお伝えしていきます。
就業規則の作成
これまで忙しさもあり、労務管理に注力することが難しかったクリニックも多いため、10人以上の場合は就業規則が必須の為、10人未満のクリニックであれば、就業規則を作成する余裕がなかったクリニック も多いかもしれません。
就業規則とは、そのクリニックで働くための規則を定めたものです。
どういうルールで働くのかをスタッフに提示することで、労働条件の明確化にも繋がり、不祥事を起こした場合の処遇の記載をすることで不祥事を起こしたスタッフを正当に処分することも可能になります。
就業規則の作成はクリニックにとってメリットになりますので、10人未満のクリニックでも作成することをお勧めします。
また、10人以上のクリニックでは本当に今の職場環境に適したものか確認をすることをお勧めします。なぜなら、就業規則を作成した当初より従業員が増えている場合、見直しが必要かもしれないからです。
併せて読みたい:自社の就業規則を見直したい方はこちら
労働時間の管理
クリニックの運営で大事なことのひとつに、労働時間の管理が挙げられます。
2024年4月1日からの医師の働き方改革でも、根本的に実施していくことは労働時間の管理です。
専門職が多く、複雑な勤務体系のクリニックは労働時間の管理が難しく感じますが、きちんと管理していくことでスタッフの負担軽減や労働時間に対する不平不満の解消にも繋がります。
労働時間を管理する勤怠システムなどもありますので、導入 を検討してもいいでしょう。
医師とスタッフ間で面談の場を設けるなどコミュニケーションの場を作る
職場環境を整えることはもちろん重要ですが、スタッフ個々人の希望や要望などはそれぞれ確認していかないとわからない内容です。
小さな不平不満も積もり積もるとかなりのストレスを抱えることになります。
そういった場合は、医師とスタッフ間で面談の場を設けるなど吐き出す場を作ることも重要です。
話を聞いてくれる、自分の意見を反映してくれると思うだけでもスタッフにとっては安心感を得られるものです。
労務管理の円滑なスタートは専門家とのタッグが重要!
いかがでしたでしょうか?
クリニックにおける労務管理の重要性についてお伝えし、労務管理が安定した労働環境に繋がることをご理解いただけたと思います。
しかしながら、クリニックでの労務管理はまだまだ浸透したばかりです。
安定した労務管理の円滑なスタートを切るには、知識のある専門家とのタッグも重要といえます。
社会保険労務士は労務管理のプロ。困った時は専門家の知恵を借りて進みましょう!
併せて読みたい:行政対応を問題なくできる労務管理体制を作りたい方へ
人事と労務管理の専門家として、これまで各業種の企業さまへさまざまなサポートを提供してまいりました。顧問企業がお困りの際に「受け身」でご支援を行うだけではなく、こちらから「積極的に改善提案を行うコンサルティング業務」をその特色としております。人事労務にお悩みのある企業さまはもちろんのこと、社内環境の改善を目指したい方、また問題点が漠然としていてご自身でもはっきり把握されていない段階であっても、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。
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